聖堂12個の小さい窓にもP・Aカルペンティール神父制作の伝統的な象徴が描かれています。
小さいステンドグラスの一部が犬養道子著「聖書を旅する」10巻に多摩教会蔵として紹介されました。
カルペンティール神父略歴

ヨハネのシンボル・鷲 子「勝利の子羊」 パンと魚
ルカのシンボル・牛 神徳「愛」のシンボル・心臓 コルベ神父囚人服・番号
マルコのシンボル・ライオン 神徳「信」のシンボル・ランプ 聖霊のシンボル・鳩
マタイのシンボル・人間 神徳「望」のシンボル・錨 父「創造の手」



 A・カルペンティール神父様は1918年9月にベルギーのアントワープで生まれました。中学・高校に相当する小神学校時代に、すでにレミ・レンスという画家のアトリエでデッサンと油絵を学びました。
 高校を卒業する年、19歳で聖ドミニコ会に入られました。それからブラツセルのルーヴァン大学で4年間神学を勉強され、司祭に叙階されました。その間も、中世の趣を現代に伝えるベルギーの都市ガンの聖ルカ美術学校で美術の勉強もされました。 31歳の時、すなわち1949年戦後間もない日本に宣教師として来られました。そして、1950年には日本画の勉強をするために東京国立芸術大学に在学し、日本の画壇にも油絵、版画、ステンドグラスの分野で作品を発表されてきました。
 新樹会展、日展、光風会展、国展などに出展するため多くの作品の制作に取り組んでこられました。勿論、キリスト教美術展には1976年来、作品を出されています。1991年からは国画会の会員になっておられます。
 個展としては、1978年の三越本店での版画とステンドグラスの展覧会を初めとして、ベルギー、オランダ、カナダ、アメリカ各地で次々に個展を開かれました。
 教会及び修道会のステンドグラスや壁画の制作の面では、次のような足跡を残されています。すなわち、北仙台カトリック教会のステンドグラス(1985年)、カナダ・モントリオールの教会壁画(1986年)、スペインのマドリードとオカニヤの修道院壁画(1987年)、福岡カトリック教会のステンドグラス(1992年)、仙台ドミニコ会姉妹会のステンドグラス(1996年)などです。そして2000年多摩教会の聖堂が建設された際、聖堂背面と両サイドのステンドグラスの制作を引き受けてくださいました。
 現在85歳でも制作意欲は旺盛で、個展、建造物の壁画、版画、彫刻など多岐にわたる作品に取り組んでおられます。ご承知のとおり、オリエンス編集の「聖書と典礼」の表紙の絵も担当されています。ただし、以前から心臓の持病を患っておられ、それに加えて、昨年から頸椎の異常のため右手の麻痺に悩まされておられます。それにも拘わらず、のびのびとした、おおらかな画風で聖書物語を現代風に描き続けられています。因みに、東京でのアトリエは新宿百人町にあるドミニコ修道会の「学生の家」の片隅にあります。私たちのステンドグラスもここで制作されたものです。