異常気象という言葉が頻繁にきかれるようになって、緊急支援が必要なケースが多くなっています。大きな災害のニュースがあると、私たちの多くは「なにかできることはないか」という気持ちをもちます。被災された方を助けるためはもちろんですが、人知を超える大事態という怖れを感じ、なにかすることで自分を持ち直したいというのもあるかもしれません。
「想定外」ということばを何回も耳にした2011年の大震災。励まし合うために「きずな」ということばもありました。個人でも教会単位でも、多くの人が赴いて祈り・活動をしてきました。震災から5日目にして、現地での対策本部を開設した一人、カリタスジャパン(当時)の成井神父さまは後におっしゃったひと言に力がありました。
「きずなという言葉は人と人との疎通があって初めて成り立つのです」
ボランティアにしても、ただ瓦礫撤去を黙々とするのでなく、現地の人と過ごしお茶をし、交わし合う言葉でどれだけお互いが得るものが大きかったかを。ボランティアケアの現場から得られた信念です。
震災時には必要なところと連携し対応していくカリタスジャパンをはじめ、日本の司教団は今も各所のボランティアベースを拠点に被災地につながりをもちつづけています。
11月23日に三教会(調布、府中、多摩)教会合同企画として、東京教区のカトリック東京ボランティアセンターとの共催で、「福島から語る@多摩東」を多摩教会にて10時より開催します。福島原発から一番近いカトリック原町教会の一角にボランティアを受け入れる「カリタス南相馬」があり、所長の畠中ちあき氏と、現在原町教会でミサをささげておられる幸田司教さまがこられます。また浪江町で被災者救助にあたっていた消防団員が、原発事故の危険から救助を断念して、避難を余儀なくされたときの話「無念」の上演も、現地の方をお招きして、知る機会をもちます。「食祭の秋」に行う企画なので、現地の魅力的な旬の味を共に楽しむ用意もできています。
私もいままで7回、南相馬に赴いていますが、何よりも現地を訪れるのがいいと考えています。11月23日は日曜でなく勤労感謝の日の木曜日ですので、「ちょっと寄っていこうかな」ということにならないかもしれませんが、その先どんな想いで出来事をとらえるのかの再考することを含め、皆様の参加をおまちしています。
【 連載コラム 】
「荒野のオアシス教会を目指して」
連載コラム「スローガンの実現に向かって」第82回
シニアの、シニアによる、シニアのための集い、開催しました!
シニアの皆さん、今年のシニアの集い、お楽しみいただけましたでしょうか?今年いらっしゃれなかった方、来年はぜひ、いらしてくださいね。
新たにシニア対象者に加わった方は15名。えっ、あの人も? あの方、バリバリなのにもうシニア? うそでしょ? えっ、びっくり。毎年のことながら、シニアデビューされた方々を見ますと、その若々しさに驚かされます。多摩教会のシニア対象(75歳以上)は、いまや総勢160名を超えています。
「多摩教会のシニアは元気だ!」、豊島神父様のそんなお言葉を受け、今年のシニアの集いを「シニアの、シニアによる、シニアのための集い」と銘打って開催することにいたしました。シニアの皆さんが中心になって、皆さんのための集いを開いていただきたい、「シニアの、シニアによる、シニアのための」には、そんな意味合いが込められています。
その第一回目となる今年は、そのことをシンボリックに表すべく、実行委員長をシニア対象者の北村司郎さんにお願いし、企画段階から加わっていただきました。北村実行委員長のもと、信徒館2階の小部屋に潜んで事前にお弁当やデザートの試食もして、献立を吟味いたしました。年に一度の大切な会ですから、シニアの皆さんには美味しいお食事を召し上がっていただきたい、しっかり吟味した上(たっぷり試食した上? いやいや試食は少しずつでしたよ)、例年よりも豪華なお弁当にして、お吸い物、お菓子、フルーツ、さらにひと口ビールもお付けしました。献立の最終決定権は、当然ながら北村実行委員長の手にあります。役得ですね、これは。来年の実行委員長立候補者(シニア対象者に限る)、お待ちしてま~す。関戸・一宮・府中・日野・野猿地区の皆さま、食事会の事前準備、当日の配膳、片付け、ありがとうございました!
当日は「シニアの奉仕によるミサ」から始まりました。侍者、先唱、朗読、朗唱、奉納、すべてシニアの方々が奉仕します。明るい秋の朝の光の中で、厳かな所作、熟練の味わいを醸し出して、ご奉仕してくださるミサ、素晴らしかった。ミサ後、聖堂でイベント、教会学校の子どもたちの「ありがとう」の歌とメッセージ、花束贈呈、シニア代表のごあいさつなどなど。今年は60名ほどが集いに参加されましたが、聖堂での写真撮影もいよいよ大掛かりな撮影会となりました。前4列の椅子を移動させて、にわか作りのひな壇を設け、写真の準備を始めてから実際にシャッターを押すまで、ずいぶんと時間がかかっちゃいましたね、長い間、お待たせしちゃってすみませんでした。でも、皆さまの笑顔溢れるとっても素敵な「家族写真」が出来上がりましたよ。
その後、信徒館1階でのお食事会。豊島神父様は、文語で食前の祈りを唱えられました。さすがシニア世代の皆さま、文語のお祈りに自然に唱和されていました。ミサ中に霊名の祝日のお祝いをさせていただいた平神父様に乾杯のご発声を賜り、会食、ご歓談、意見交換と、和やかな時間が進みます。参加者全員でカトリック聖歌「野ばらにおう」と「あめのきさき」も歌いました。
さて、会の終わりが近づいた頃、豊島神父様に改めてお話をお願いしました。そのとき神父様から出たお言葉は・・・。
「シニアの皆さん、この会は生存確認の会ではなく、青年会だと思ってください!」神父様からのこの力強いメッセージを頂いたとき、シニアの皆さんが共感して嬉しそうにうなずくお姿、とっても印象的でした。そしてその瞬間、あっ、この場こそが、シニアの皆さんにとっての「オアシス」なんだな、と改めて気づかされました。
とっても素晴らしい一日になりました。この集いに実行委員として関わることができたこと、神様に感謝いたします。
【 お知らせ 】
10月6日(金)、豊島神父様はお説教で、「今日の答唱詩編に、『あなたは私の隠れ場、苦しみから私を助け出し、救いの喜びでおおってくださる』とあるとおり、私たちが落ちこんだとき、傷ついたときにこそ、救いの手を差し伸べてくださる神様の本当の素晴らしさに向き合うことが大切です。苦しいときには、愛のみ心の次なるわざを待ちましょう」と話されました。
続いての初金家族の会では、府中の島田潤一さんが遠藤周作著『沈黙』の脇役、キチジローの生き様を取り上げ、当時の信仰環境や、「主の祈り」の人を許すということなどについてお話しなさいました。
参加者からは、「人はそれぞれ価値観、感情を持っている。相手の価値観を認めることも必要」「ただ許すというだけでなく、差別のない社会を目指し、自然環境を良くするように努めることなどが大事」「相手を許すさないという自分自身の気持ちを許すこと」「もともと作品のタイトル『沈黙』が、遠藤氏自身が用意した『日なたの匂い』であったことで明らかなように、砂の文化の中で生まれた宗教が、石の文化で西欧化し、それが木の文化の日本でどのように受けいれられ、とけ込まなければならないのかが著者自身の探究であり、もがきだったのでは・・・」など、さまざまな感想、意見が述べられました。