2016年4月号 No.512

発行 : 2016年4月30日
【 巻頭言:主任司祭 豊島 治 】


第二ステージへ

主任司祭 豊島 治

 「あなたは私の愛する子、私の心にかなうもの」
 イエスがヨルダン川で洗礼を受けた瞬間、天からの声がきこえたとあります。
 いのちの源である父から、完全に愛されていると体感した宣言を、いまの私たちもよびかけられています。

  I love you. You are OK. この宣言を受け、洗礼をうけた私たちは、完全な自己肯定をうけました。あなたは幸せになっていい。という神による永遠の愛と絶対的な受け入れの宣言です。

 もちろん、日常生活の問題や、困難さがなくなるわけではないのですが、命をもつものに与えられる一日一日の現場を果たしていくことでこの神様の宣言を証ししていくことになります。

 この世にあって、目に見えない神の愛、恵み、慈しみ、ゆるしを私たちは世において目に見えるしるしとなる。

 秘跡を大切にしましょう。隣人愛を意識しましょう。ここからの恵みによって私たちは十字架を担って、奪い去られることがない最終的な幸せを目指して次なる歩みを持てればと思います。

【 連載コラム 】


「荒野のオアシス教会を目指して」

一瞬の勇気で、一生の家族!
連載コラム「スローガンの実現に向かって」第64回
耳を傾ける

南大沢 加藤 泰彦

 復活祭が終わり、そろそろひと月が過ぎようとしているこの時期は、毎年のごとくちょっと忙しくなってきます。復活徹夜祭で洗礼を受けられた方々の記念文集の編集が始まるからです。2010年から作り始め、今年で7冊目になります。『受洗者記念文集』作製は多摩教会広報部の大切な仕事です。
 入門係の文集担当者から毎日のようにメールで新しい原稿が送られてきます。さまざまな年齢、境遇の方々の、洗礼にいたるドラマが書き込まれた原稿が届きます。長文もあれば短くまとめられたもの、散文もあれば、論文風のものも。書き手の個性を反映させた色とりどりの原稿が集まってきます。
 光栄なことに、この沢山の原稿の第一番目の読者の役割をさせていただいています。第一行目を読み始めたときハッとさせられる原稿に出会うこともしばしばです。それもそのはずで、人生の一大転換点を通り抜けられた方々の証言は読み手をグッと立ち止まらせる迫力があります。文章を丹念にたどってゆくと、行間に深い絶望や挫折、恐れが見かくれすることもあります。また、その苦しみを乗り越えた喜び、賛美も語られます。
 これらはまぎれも無い、生きた証言です。わたしたちはそれに素直に耳を傾けたいと思います。
 復活節第6主日(今年は5月1日)は「世界広報の日」にあたります。この日のために教皇メッセージが出されますが、今年は「いつくしみの特別聖年」にもあたり、フランシスコ教皇は「耳を傾ける」ということを強調されます。

 「人間社会を、見知らぬ人々が競い合い、優位に立とうとする場としてではなく、互いに受け入れ合い、扉がいつも開かれている家や家庭として考えるよう私は皆さんにお勧めしたいと思います。そのためには、まず耳を傾けなければなりません。(中略)耳を傾けることは決して容易ではありません。多くの場合、耳をふさいでいるほうがずっと楽です。耳を傾けることは,注目すること、理解しようとすること、他の人の言葉を評価し,尊重し,大切にしようとすることを意味します。(中略)耳を傾けるすべを知ることは,計り知れない恵みです。それはわたしたちが願い求め、実践すべきたまものなのです。」

(第50回「世界広報の日」メッセージより)

 文集の中にさまざまに語られるそれぞれの人生に、そっと耳を傾けましょう。闇から光りへ、新たな命への誕生の声を聞きましょう。新たに私達とともに歩む仲間となられた方々を喜んで受け入れましょう。
 時間をかけてゆっくり読んでいただければ幸いです。筆者の原文には極力手を入れないようにしておりますので、読みづらかったり、一言一言考えながら文章をたどる必要も出てきます。しかしその作業は「計り知れない恵み」なのです。オアシスを必死に探し求めて来られた方々の旅路の同伴者になりましょう。
 受洗者の皆さんからの原稿もあと少しですべて集まりそうで、このペースでいけば5月中にはなんとか完成の予定です。もうしばらくお待ちください。

【 特別寄稿 】


釜石と福島に行ってきました

司牧評議会委員長 塚本 清

 3月19日から21日に釜石と福島に行ってきました。
 これは、私の息子が高校生の時、東日本大震災のボランティアで釜石に行ってきた関係で、震災から5年経って、「釜石のこれまでと、これから」というイベントがあるので、来ませんかというお誘いを受け、一緒にでかけたものです。

 釜石に着いてまず、カリタス釜石に行きました。カトリック釜石教会の隣にあり、事務局長の今村さんに多摩教会の献金20万円をお渡ししました。震災直後は、教会に寝泊まりして活動を始めましたが、今では自分たちの建物もできていました。釜石の復興は進んでいますが、カリタス釜石では、様々な地域の仮設住宅から復興公営住宅へ移られた方々と、復興公営住宅が建設された地域の方々との交流に力を入れているとのことでした。
 「釜石のこれまでと、これから」では市内外の復興協働団体の発表があり、カリタス釜石からもこの5年間の活動報告がありました。釜石の町を歩いていると、いたるところに震災の後に来た津波の高さの表示がありました。町の中心部では2メートルくらいの高さまで津波が来たようでした。
 翌日は、福島に行きました。福島駅近くの野田町教会には、多摩教会から贈られたマリア像がありました。また野田町教会では、多摩教会のステンドグラスを作られたカルペンティール神父様の作られた十字架の道行のステンドグラスがありました。福島では町は普通のにぎわいでしたが、テレビの天気予報を見ていると、最後に県内各地の放射能の線量が報告されていました。

 今回行けたのは、釜石と福島だけでしたが東北では震災の後の復興がまだまだのところもあるようです。多摩教会でも、これからもカリタス釜石への支援を続けていかねばならないと思いました。

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①                 ②                ③                 ④

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(画像はクリックで拡大表示)

① カリタス釜石(左上の、十字架が立つ建物はカトリック釜石教会)
② カトリック野田町教会(外観)
③ 「多摩教会から贈られたマリア像」
④ カトリック野田町教会(聖堂)

【 お知らせ 】


「初金家族の会」からのお知らせ

 教会脇、乞田(こった)川沿いの道が満開の桜で彩られた去る4月1日の初金ミサは、転任まぢかの晴佐久神父様と新任の豊島神父様の共同司式で捧げられました。
 当教会での最後の初金ミサ司式となった晴佐久神父様は、「初めて来られた方、いろいろと辛い思いをしている方も喜んで受け入れ、みんなで福音宣教に励んで神の国の宴を先取りしましょう」と熱心に呼びかけられました。

 ミサ後、信徒会館に数十人が集まり初金家族の会持ち寄り食材のお惣菜鍋を賞味しながら和やかに歓談のひとときを過ごしました。
 次回5月6日の初金家族の会は豊島神父様を囲んで懇談会を予定しています。

 初金家族の会は、初金ミサのあとお昼までの1時間、信徒会館で信仰共同体のお仲間同士、楽しくおしゃべりしながらお互いの絆を深める自由な集いです。
 『みんな違って、みんないい』 どなた様も、どうぞお気軽にご参加下さい。