加藤 由美子
昨年の少し秋が深まる頃でした。多摩教会を見せてくださいと、訪れた写真家の方がいました。
ヨーロツパ各地の教会を、撮り続けているそうです。
聖堂を案内しながら、撮影旅行の話しを聞かせていただきました。
ピレネーを超えスペインに行ったとき、途中の山間の教会で見も知らない彼に、やさしく、ほほえみながらスープを出して下さり、家族のように一緒に食事をしてくださったそうです。
「よくいらっしやいました」という感じよりは、「お帰りなさい。 暖かいスープでも飲んでゆっくり休んでください」と感じたそうです。
「撮影旅行はいつも車で移動します。借りた車がボンコツで、山道で動かなくなり、言葉も分からないで 困っていると、通りがかりの人が、麓まで行って自動車修理屋を連れてきてくれ、ほっとした」 ことなど話してくれました。
旅行をしていると色んなことが起こり、途方に暮れることも多々あったようです。
そのようにして、各地の教会を訪ね歩いているうちに、その教会から出てくる人の顔を見ていると、その教会がどんな 教会か分かるようになったそうです。
多摩教会はどのようにうつったのでしようか。
多摩教会を訪れる方々に対して、私たちも写真家の方がピレネーの山間の教会で 出会ったように、おだやかに、ほほえみながら、「お帰りなさい」と 心から曖かく迎えることができますように。 祈りのうちに。