巻頭言:主任司祭 豊島 治「考えます」

考えます

主任司祭 豊島 治

 気象災害といわれる被災地が多く、お見舞い申し上げます。
 今なお困難を極める現実に途方に暮れている方々が多くおられます。台風15号、19号、そして21号の影響を受けた降雨による被害は、東日本大震災のダメージから少しずつでも復興しようとして、積み上げた鉄道軌道の復旧をはじめとするインフラや、ためてきたものを奪っています。被害の範囲が広く、報道各局も、どの拠点から報道すべきか迷っているようです。しかし、水害というのは地震とは異なり、外観からははっきり見えない、それ故共感共有がしにくいという心理も働きます。
 カリタスジャパンは既存の東北にある四つのボランティアベースが対応し、初動は断水地域に水の運搬から始めています。千葉県内被災地については現地の社会福祉協議会との連携を模索中ですが、天候が落ち着かず苦慮しています。大田区の多摩川支流氾濫対応で、田園調布教会の信徒が有志として炊き出しをしています。

 台風によって多摩教会も新たに地下駐車場が浸水しました。専門用語では内水氾濫によるもの、といいます。内水氾濫とは、大雨・豪雨の雨量が下水道、側溝、排水路の雨水処理容量を上回り、土地・建物や道路、地下道などが水浸しになる現象です。
 今回の地下駐車場での出来事は深いところで10センチというものですが、排水処理能力を超える降雨でしたので溢れたのです。浸水時は真水かと思い、営繕のかたを中心に掻き出しをしましたが、掻き出しだけでは混合物はとれませんでした。除去については今後も対応を継続していきます。
 注意喚起をしますが、10月の末のこの時期に千葉県の上空で積乱雲が発生して大雨が降るという現象が近年ないことですから、こればっかりは、「たいしたことない、今までそんなのなかったから」と人生の経験知を信じている現代ではありません。
 川の様子を見に行くことも言語道断です。まずは、いのちを大切に。川の様子はインターネットで確認できます。今後、教会周辺の危険を感じたときは、10月12日にしたように、教会に来ることに対して、皆さんにストップをかけることもあることを了承ください。

 教皇さまも2015年発行の回勅「ラウダート・シ」のなかで既に言われているように、地球が必要以上に「温まっている」ことを指摘して、気候は人類共通の財産であると明言しています(23-26項)。そのためには、私たちが地球という存在をケアしていくとあります。教皇さま原語では英語でいうcareと明記されていますが、日本語訳は「大切に」としています。翻訳を担当した神父さまは「配慮」「気遣い」「心に掛ける」「世話をする」というcareをどのように訳するかと悩んだそうです。同じようでいて求められる行動は異なるものだからです。私たち人間が気候のために何ができるのかをcareという原語に即して行動する時期がきています。

 11月に入りますと、教皇さまの来日のムードが本格化します。東京ドームでのミサに応募された方については、11月15日までに入場券が届くそうです。一方、届かなれれば落選となるという情報です。
 多摩教会では教皇ミサの模様を映像で見るための準備をしています。発信元の教皇ミサ実行委員会の情報を待って、詳細をお知らせします。台風の影響で、できなかった福音宣教特別月間の司教団が要求した内容の掲示も数週間継続します。いずれも詳細はホームページでの広報をお待ちください。

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台風の影響当時と平常の多摩川-京王線陸橋-

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