信じる(受洗者記念文集)

坂本 宏喜

 教会に通い続けて約1年間、ず〜っと気になっていたことがありました。
 それは、洗礼を受けている信者の人たちしかもらえないもの。……そう!「パン」です。あのパンの味をどうしても知りたかったのです(笑)。
 洗礼式当日、「キリストの体……」という言葉と共に神父様からパンをいただいて食べた瞬間、受洗をした実感が涌いてきました。

 さて、僕がこの教会に来ることになった理由ですが、実は自分でもはっきり分かりません。最初に教会へ行った時の記憶もなく、気付いたら毎週通っていました。
 通い始めた最初の方は、神父様のお説教が子守唄のように聞こえ熟睡していました。すっごく気持ちよかったことを覚えています。
 すると、数カ月後に神父様から「今日も眠そうだったね〜首がコクコクなっていておもしろかったよ」と言われました。寝ていることがバレないように、いつも後ろの方に座っていたのですけどね……。さすが神父様!

 神父様とこの教会から一番学んだことは、「信じる」ことの大切さです。
 神父様は毎週何時間もお話されていますが、最終的に言っていることはいつも同じで、とてもシンプルです。「神様はあなたを愛し、守ってくださる。それを信じなさい。」ただそれだけのことです。
 残念ながら神様の愛は、目に映る「形」としては見えません。だから、それを信じきることができない人はたくさんいます。でも、その愛を信じきることができた人は、不安や恐怖が消え、いろいろな見えないものに希望を持つことができるのだと感じました。

 例えば、「自分の可能性」です。
 人ってとてもネガティブな生き物だと思います。だから、何かを始めるにしても、「どうせ自分なんかには無理だ。自分にはそんなポテンシャルはない。どうせ、どうせ……」ってなってしまうことが多いです。
 でも、目に見えない神の愛を信じられる人は、同じく目に見えない自分の可能性を容易に信じられるようになります。これ、僕のことです(笑)。

 他には、「将来の自分」なんかも目には見えず、不安な人も多いのではないでしょうか。
 不況の影響もあり、仕事に就くことが難しい時代です。ちゃんとした仕事を見つけられるか、または今やっている仕事がこのまま続けられるのかなど本当に不安な人が多い気がします。
 でも、大丈夫。だって神様がずっと見守ってくれているのだから。

 今僕は、自分の将来が楽しみで仕方ありません。これからどんなお恵みを与えていただけるのでしょうか。本当に楽しみです。
 「信じることを本当の意味で知った人間は強いよ」そう言ってくださった神父様、心から感謝しています。

 では最後に、始めに書いた僕の素朴な疑問、「パンの味」の答えを書いておきます。
 あのパン・・・今まで食べたどの食べ物よりも、おいしかったです。本当においしかったです。