巻頭言:主任司祭 晴佐久昌英

釜石ベースのために、中古ワゴンを贈りたい!

主任司祭 晴佐久 昌英

 いつも、被災地支援のためにご協力ありがとうございます。2月は福島を2回お訪ねし、3月は盛岡、宮古、大槌、釜石を周って来ました。
 福島の野田町教会でミサと講話をいたしましたが、震災で壊れた聖母像の代わりにと、昨年多摩教会が贈った聖母子像に再会することが出来ました。そのことでは信者さんも大変喜んでいて、1919年生まれという一人の女性は私の手を取って、「聖母子像の祝別式に多摩の皆さんが来てくれて本当にうれしかった、ご像にはいつも励まされています、今日こうして直接御礼が言えてうれしい」と、涙ながらにおっしゃってくださいました。

 岩手へは、皆さんからの義捐金を届け、各ベースのスタッフを励ましてまいりました。盛岡では、盛岡を基点にして三陸の被災地支援をしている信者のグループ「ナザレの会」のみなさんに義捐金を託し、宮古では2日間、一日目は宮古ベースのみなさんと、二日目は宮古教会のみなさんとそれぞれにミサをして、福音を語ることができました。
 宮古は3度目の訪問ですが、最初の訪問の時に知り合った中村せんべい店も訪問できました。ご存知、多摩教会の教会ショップで売っている南部せんべいを作っているお店です。津波で被災して一時はあきらめかけましたが、何とかお店を再開してがんばっています。でも、隣の人も去ってしまい、今が一番さびしいと言っていました。奥様はいつも晴佐久神父の本を被災者に配っている方なので、「恐れるな」などを十冊お届けしました。
 大槌ベースでは、私と叙階が同期の古木神父ががんばっています。大槌はまだベースが出来る前も含め4度目の訪問ですが、「こうして何度も来てくれるだけで、どんなに励まされるか」と言ってくださいました。多摩からの義捐金をお届けして、「神父さまご自身の裁量で必要な経費としてお使いください」と申し上げましたら、そういうのが何より助かると、大変喜ばれました。せっかく整備した大槌ベースですが、かさ上げのためにまた移転せざるを得なくなりました。ますますの応援が必要です。

 さて、釜石ベース、「カリタス釜石」ですが、ここへはもう10回近く来ていて何度目の訪問かも分からなくなってしまいましたが、相変わらずスタッフがみんな誠心誠意頑張っていて、本当に感心します。
 死者行方不明者1041名の街です。被災地が次第に忘れ去られていく中、被災者はいまだに癒えぬ傷を抱えて、孤独感をつのらせています。被災者間の格差も拡がり、弱者は取り残されていきます。釜石ベースは、そんな一人ひとりにていねいに寄り添う、「寄り添い型支援」を続けて、地元から圧倒的な信頼を勝ち得てきました。
 今回うれしかったのは、このたび、カリタス釜石がNPO法人として認可されたことです。私の親しい友人であり、ベースを実質的に支えてきた伊勢さんが副理事長として、ますます福音的な活動をしてくれることでしょう。このたび、その伊勢さんが私に、少し言いにくそうに、しかし「ノーとは言わせない」という眼力で、言いました。
 「ワゴン車が一台必要なんだけど・・・」
 わたしは反射的にお答えしました。「お任せください」。そう言うしかありません。そのためにお訪ねしているのですから。
 ということで、みなさんに呼びかけます。NPO法人カリタス釜石発足のお祝いに、ワゴン車を贈りましょう。必要なのは中古のハイエース(商用タイプ)で、後部座席がなく荷台が広いタイプのものです。現地にちょうどいい出物があって、それが180万円だということですので、みなさんのお志を託していただけませんでしょうか。なにとぞ、よろしくお願いいたします。
 もちろん、いつものように私が直接お届けします。4月は24,25日に釜石を訪問しますので、それまでに集めたいと思います。
 贈るのは単なる車ではありません。「あなたの悲しみを忘れていませんよ、祈っていますよ」という、まごころです。