巻頭言:主任司祭 晴佐久昌英「カリタス釜石の新センター建設資金援助のお願い」

カリタス釜石の新センター建設資金援助のお願い

主任司祭 晴佐久 昌英

 クリスマス、おめでとうございます!
 イエスさまは、貧しい人と共にある救い主として、貧しい馬屋でお生まれになりました。最初の訪問者は貧しい羊飼いたちでしたし、生涯貧しい人に福音を告げ知らせて、最後は貧しい盗賊と共に十字架上で亡くなりました。
 キリストの教会はキリストそのものですから、当然、貧しい人々と共にある教会でなければなりません。貧しい人の訪問をいつでも歓迎し、貧しい人にこそ福音を告げ知らせ、貧しい人と共に十字架を背負うためにこそ、教会は存在しているのです。

 12月17日は、ローマ教皇フランシスコの77歳の誕生日でしたが、この日の朝、教皇はローマ市内のホームレスをバチカンに招き、自身が生活している聖マルタの家の食堂で、誕生日の食事を共にしました。招待されたのはバチカン付近の路上生活者3名で、それぞれ、スロバキア、ポーランド、チェコ出身の男性。そのうちの一人は、「教皇に会えるのだから、ホームレスだったかいがある」と話したそうです。
 まさに「貧しい人々のための教会」を掲げる教皇フランシスコらしいエピソードで、その一週間前に、アメリカのタイム誌で恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に教皇フランシスコが選出されたのも分かります。その選ばれた理由は、「思いやりに焦点をあて、良心の新たな代弁者となった」というものでした。
 しかし、よくよく考えてみると、キリストの代理者であり教会の頭である教皇が思いやり深く、良心に従ってホームレスを招き入れ、食事を共にするというのは、実は当然のことではないでしょうか。むしろ、それがニュースになるような教会の現状を恥じるべきだとも言えます。キリストはそうしていたし、そのキリストとひとつであろうとするのが、キリストの教会なのですから。

 先日ローマを訪問した折、確かにバチカンの周りに物乞いをしているホームレスがたくさんいるのを見かけましたが、一々対応していてはキリがないと、前を通り過ぎてばかりでした。最終日に聖パウロ教会を訪問した時、教会出口に赤ん坊を抱えた難民風の女性がいたので、せめてもの罪滅ぼしにと、2ユーロ差し上げました。すると、「もっとくれ」と言うのです。こちらがローマンカラーをしていたせいもあって、「ファーザー、プリーズ、ファーザー、プリーズ」と言いながら、ずーっと後を付いてくるのです。ポケットを探ると、もう小銭はなく、お札しかありません。良心というよりは、仕方なくって感じで10ユーロ渡すと、なんと、「もっと」と言うのです。後はもう20ユーロ札しかなかったので、「すんまへん、かんべんして〜」とか日本語で言いながら、バスの中に逃げ込んでしまいました。
 ホームレスを招いたパパ様のニュースを読んで、つくづく思います。
 なんであのとき、あの20ユーロ札を出さなかったんだろう、と。

 12月初めに、釜石を訪問して来ました。釜石ベースはNPO法人カリタス釜石として新たなスタートを切ったところです。東北の被災者は、まさに今、物質的にも精神的にも、日本で最も貧しい人たちですし、そんな中でのベースの福音的な活動は本当に尊く、頭の下がる奉仕です。
 このたび、カリタス釜石は、新たな活動拠点となる新センターを建設することになりました。出来上がれば地元の他のボランティアグループの拠点ともなる重要な施設です。来年4月の開所を目指していますが、資金難で、総工費5,000万円のうちあと500万円が足りないということでしたので、私が集めましょうと、お約束してまいりました。
 大きな額ですけれども、ぜひ、ご協力をお願いします。私たちが、たとえ少しずつでも分かち合えば、必ず集まると信じています。
 聖堂入口の「東日本大震災支援」の袋に入れていただいてもいいですし、HP「福音の村」の口座宛で振り込んでくださっても結構です。(※) 集まりましたものは、私が直接、釜石へお届けいたします。
 私も今回は、「なんであのとき」と後悔しないよう、やることをやるつもりです。



※【 参照 】

「福音の村」( ホームページアドレス : http://www.fukuinnomura.com/ )

 ・ 「カリタス釜石に活動拠点を!」 >>> 「募金協力のお願い」 
  (お振込先や、お振り込み方法などの詳細は、上記のページをご覧ください)

 ・ 「晴佐久神父からのお願い」 >>> 「福音の村」読者の皆様へ



<<< 「カリタス釜石」への募金 ( 「福音の村」の口座 )>>>
 
(お振り込み方法などの詳細は、「カリタス釜石に活動拠点を!」の「募金協力のお願い」のページをご覧ください。

① ゆうちょ銀行ATMでの電信振替 : 001903-652160

② ゆうちょ払込み(「払込取扱票」(青い用紙)のご利用) : 
    口座記号・口座番号 :00190-3-652160 (「652160」は右詰でご記入ください)
    加入者名 : 福音の村

③ ゆうちょ銀行以外の金融機関からのお振込み
    金融機関名 : ゆうちょ銀行
    店名 : 〇一九(ゼロイチキュウ)店
    預金種目 : 当座
    口座番号 : 0652160
    加入者名 : 福音の村

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巻頭言:主任司祭 晴佐久昌英

釜石ベースのために、中古ワゴンを贈りたい!

主任司祭 晴佐久 昌英

 いつも、被災地支援のためにご協力ありがとうございます。2月は福島を2回お訪ねし、3月は盛岡、宮古、大槌、釜石を周って来ました。
 福島の野田町教会でミサと講話をいたしましたが、震災で壊れた聖母像の代わりにと、昨年多摩教会が贈った聖母子像に再会することが出来ました。そのことでは信者さんも大変喜んでいて、1919年生まれという一人の女性は私の手を取って、「聖母子像の祝別式に多摩の皆さんが来てくれて本当にうれしかった、ご像にはいつも励まされています、今日こうして直接御礼が言えてうれしい」と、涙ながらにおっしゃってくださいました。

 岩手へは、皆さんからの義捐金を届け、各ベースのスタッフを励ましてまいりました。盛岡では、盛岡を基点にして三陸の被災地支援をしている信者のグループ「ナザレの会」のみなさんに義捐金を託し、宮古では2日間、一日目は宮古ベースのみなさんと、二日目は宮古教会のみなさんとそれぞれにミサをして、福音を語ることができました。
 宮古は3度目の訪問ですが、最初の訪問の時に知り合った中村せんべい店も訪問できました。ご存知、多摩教会の教会ショップで売っている南部せんべいを作っているお店です。津波で被災して一時はあきらめかけましたが、何とかお店を再開してがんばっています。でも、隣の人も去ってしまい、今が一番さびしいと言っていました。奥様はいつも晴佐久神父の本を被災者に配っている方なので、「恐れるな」などを十冊お届けしました。
 大槌ベースでは、私と叙階が同期の古木神父ががんばっています。大槌はまだベースが出来る前も含め4度目の訪問ですが、「こうして何度も来てくれるだけで、どんなに励まされるか」と言ってくださいました。多摩からの義捐金をお届けして、「神父さまご自身の裁量で必要な経費としてお使いください」と申し上げましたら、そういうのが何より助かると、大変喜ばれました。せっかく整備した大槌ベースですが、かさ上げのためにまた移転せざるを得なくなりました。ますますの応援が必要です。

 さて、釜石ベース、「カリタス釜石」ですが、ここへはもう10回近く来ていて何度目の訪問かも分からなくなってしまいましたが、相変わらずスタッフがみんな誠心誠意頑張っていて、本当に感心します。
 死者行方不明者1041名の街です。被災地が次第に忘れ去られていく中、被災者はいまだに癒えぬ傷を抱えて、孤独感をつのらせています。被災者間の格差も拡がり、弱者は取り残されていきます。釜石ベースは、そんな一人ひとりにていねいに寄り添う、「寄り添い型支援」を続けて、地元から圧倒的な信頼を勝ち得てきました。
 今回うれしかったのは、このたび、カリタス釜石がNPO法人として認可されたことです。私の親しい友人であり、ベースを実質的に支えてきた伊勢さんが副理事長として、ますます福音的な活動をしてくれることでしょう。このたび、その伊勢さんが私に、少し言いにくそうに、しかし「ノーとは言わせない」という眼力で、言いました。
 「ワゴン車が一台必要なんだけど・・・」
 わたしは反射的にお答えしました。「お任せください」。そう言うしかありません。そのためにお訪ねしているのですから。
 ということで、みなさんに呼びかけます。NPO法人カリタス釜石発足のお祝いに、ワゴン車を贈りましょう。必要なのは中古のハイエース(商用タイプ)で、後部座席がなく荷台が広いタイプのものです。現地にちょうどいい出物があって、それが180万円だということですので、みなさんのお志を託していただけませんでしょうか。なにとぞ、よろしくお願いいたします。
 もちろん、いつものように私が直接お届けします。4月は24,25日に釜石を訪問しますので、それまでに集めたいと思います。
 贈るのは単なる車ではありません。「あなたの悲しみを忘れていませんよ、祈っていますよ」という、まごころです。