連載コラム:「心のオアシス」

連載コラム「スローガンの実現に向かって」第44回
心のオアシス

稲城・川崎地区 酒井 眞知子

 皆さんこんにちは。
 私が初めて多摩教会を訪れたのは4年前です。いろいろなことがあり、18年振りにミサに与りたいと思い、近所の教会を探し多摩教会を知りました。
 ところが、何度も多摩教会にたどり着けず、「きっと信仰心が足りないから、教会に行きつけないのだ・・」と、今の私では、到底思わないような感情を抱いていました。やっと参加できたミサでは、お祈りの言葉が変わっていたこと、歌での賛美が多いことなど、驚きの連続だった私に、入門係や信者さんがいろいろサポートしてくださいました。神父様は、皆さんと一緒に勉強しながら入門係になることを勧めてくださり、入門係になることができました。

 ミサや講座を通してカトリックの年間行事や意味を知ることは、イエス様が人間として生きていたことが実感できる絶好のチャンスです。
 福音がどんなことなのか? 祈るって何を祈るのか? 講座に参加される皆さんの質問は素朴で、真髄をついていることが多く、いかにも難問に聞こえることを、神父様が嬉しそうに(自信満々に)答え、入門係の誰かが突っ込みを入れる、笑い声の絶えない楽しい入門講座です。
 その中で、生きていくことにも、すごくつらい思いをしている方々にも、たくさん出会いました。私も同じようにつらい体験をしたことがありました。ついつい、ダメな自分を許せない気持ちになり、不安になり、ミサがとても待ち遠しいこともあります。
 そんな時、入門講座で聞いた言葉や、癒されてホッとし、笑顔になった受講者の顔を思い出します。息苦しさが楽になる瞬間です。何度入門講座に参加していても、弱い自分が不安の風呂敷を広げてしまいますが、ここに来れば大丈夫! 愛されているのだと思えることがとてもうれしいです。
 「裁きよりもいつくしみを」。教皇フランシスコのメッセージを実際の社会の中で実現することが難しいように感じます。まずは家庭から、職場から、少しずつ輪が広がることを夢見て、種を蒔いています。

 私は普段看護師として働いています。
 十人十色、同じ病気でもひとりずつ抱える問題は違い、治療の目標も違います。朝、気持ちよく目覚め、食事を取り、自分の役割をこなし、活動し、排泄をし、眠る。どれひとつ不十分な状態でも苦痛を感じます。
 苦痛のひとつにスピリチュアルペインという言葉があります。精神的な痛みで、病気等によって行っていた役割を失ったとき等に起こります。薬を使っても良くならないのに、体の障害に合わせた役割や目標が新たにできた時、痛みが和らぐことがあります。
 カトリック教会に古くから受けつがれている慈愛や聖霊の働きは、正に苦痛を取り除く重要な要素です。
 「○○さんのためにお祈りしています」と、教会に通うまでは、意味がよくわかりませんでした。ミサや入門講座、「ここクリ」(心の病で苦しんでいる人のためのクリスマス会)など、相手を思いやることに真剣に取り組んだ時、自分一人では実現できない聖霊の働きが実際に起こります。知識や技術だけでは聖霊は働きません。
 とは言え、これから、超高齢化社会に向かい、医療や社会制度は変わっていきます。現場で働いているからこそお役にたてることがあるかも知れません。その際は、お気軽に声をかけてください。