巻頭言:主任司祭 豊島 治「つづきます」

つづきます

主任司祭 豊島 治

 ご復活おめでとうございます。そして、洗礼を受けて、神さまの親心と密接に結ばれたすべての方々にお慶びを申し上げます。
 教皇来日という報道も現実味をおびています。そして、教皇さまを正々堂々「パパさま」と呼べるのも、洗礼を受けたつながりによるものと言えます。噂の域を出ませんが、東日本大震災被災地訪問を検討されていると、TBSで報道されていました。もし実現すれば、それは意味深いことでしょう。2011年の震災発生当時から生活の場が失われ、恐怖と混沌の現実が今なお続いている状況に降り立つだけでも、言葉以上の印象があるように思えるのです。

 被災地の各拠点は、政府や協議会が定めている2021年の転換年を前にして、支援の再検討を重ねています。多摩教会が属している宗教法人カトリック東京大司教区は、福島第一原発に一番近い福島県南相馬市原町区内のカトリック教会の敷地に、「カリタス南相馬(みなみそうま)」を3年前に設立し、東京では六本木に啓発活動支援拠点として、「カトリック東京ボランティアセンター」をもって活動してきました。二つとも幸田名誉司教が責任をもっています。このうちの「カリタス南相馬」は、復活祭の翌日4月22日に東京教区所属から「一般社団法人 カリタス南相馬」となる運びとなりました。これは、カトリック組織の独立という意図で行うわけではありません、やむを得ない理由があります。
 現教皇の前任者ベネディクト16世教皇は、教会の本質として ①祈る教会(典礼) ②証しする教会 ③愛の奉仕をする教会(ラテン語でカリタス)を挙げられています。すべての教会は、このことを「時のしるし」として受け止め邁進しています。
 ところで、私たちが日本で属する宗教法人規則の目的の項目には、「救世主イエス・キリストの啓示に基づき、唯一、聖、公、使徒継承をその特徴とするカトリックの教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を強化育成する業務、事業を行う」というくだりがあります。
 カリタスの活動は、カリタス南相馬の活動も含めて、愛の奉仕によるものです。しかし、地域に基づいて開かれた場となる数々の企画は、宗教法人の規定枠を越えてしまうことになるのです。そこで、先駆的な取り組みとして、カトリック精神をもった法人を設立する運びになったのです。もちろん各カトリック教会諮問組織に伺いをたてて、了承をいただき、理事に仙台教区の平賀司教さま、幸田名誉司教さま。設立時社員に菊地大司教さま、そして私、豊島神父も名が入っています。しかし、独立することには変わりないので、財政は厳しくなります。
 一般社団法人になると、呼びかけに応えて下さった寄付者の方々の税制優遇の制度も受けられるそうです。方法&優遇対象の範囲について、詳しくはカリタス南相馬事務所に問い合わせください。

 多摩教会の対外行事のいくつかは、偶然にもこれに関係する内容になりました。
 復活祭の翌週、4月28日には、東日本大震災被災地のためのチャリティーコンサートがあります。当日、私はカリタスジャパンの仕事で高円寺教会でミサと講話があり、やむを得ず欠席となりますが、主任司祭としてメッセージを記して、来場の皆さんに呼びかける予定です。コンサートは午後からです。チラシをご覧下さい。

 4月27日から5月3日まで、多摩教会聖堂エントランスでは、「教皇さまを知る企画」として、写真展をいたします。現在、「なんみん(従来難民と記していた)」とされた方々への教皇メッセージの背景を知っていただくものです。3日の初金10時のミサ後には、少し説明会もいたします。(多摩カトリックニューズ前号にて既報)

 5月12日は同じテーマですが、写真も鮮明で、説明も時間を掛けた内容のものを、調布教会、府中教会と3教会合同で調布教会にて行います。13時からです。

 5月19日は、森名誉司教さまにおいでいただきます。これは、3年後2022年が多摩教会創立50周年を迎えるための布石にあたります。ミサのあと、「いのちのまなざし」初版の発行に関わった司教さまによる、今の私たちのいのちについて、とりまく社会について話されると思います。近日印刷されるチラシを参照ください。

 多摩カトリックニューズ次号発行のときは、もう元号が「令和」に変わっているのですね。多摩教会には改元をこえても、いつも通りでしょう。今、なにかを引きずっていて、不具合であるのなら、改元5月1日をもって、あるいは学びを通して、気分を一新して活動してはいかがでしょうか。

caritas-minamisohma-s小金井教会を中心とした支援で110万円相当の電光看板が設置され、福島県相馬市の輝きとなりました。
(カトリック系3施設が並記されています)