連載コラム:「恵みあふれる2年間」

= 弱音・不安は神様に預けて、受け入れあう笑顔をもらいに行こう =
連載コラム「スローガンの実現に向かって」第97回
「恵みあふれる2年間」

前司牧評議会委員長 中嶋 誠

 2017年2月19日、信徒総会で豊島治神父から委員長職の委嘱を受けました。総会での挨拶で、洗礼を受けて3年にも満たない私が委員長になって良いのだろうかの不安の心を、晴佐久神父の総会当日19日の日めくりカレンダーの言葉、『役に立たないものほど役に立つ ふさわしくないものほどふさわしい』が後押ししてくれたと披露しました。『役に立たないものほど役に立つ』。複眼の視点。発想の転換です。そうそう、その時同時に、晴佐久神父の「これ大事ですよ」と言われた言葉が、やけに鮮明に思い出されました。それは、「いつも太陽は地球を照らしているんですよ。雲が時折、邪魔しているだけの話です」と。こうして委員長生活がスタートしました。

 実は私は、いきなり4月の司牧評議会を欠席しています。委員長選挙前に、イスラエル巡礼旅行に申し込んでおり、洗礼後日も浅い私は、どうしても逃したくなく、参加したのです。巡礼旅行の指導司祭はサレジオ修道会のコンプリ神父で、何処を訪ねても示唆とユーモアに富んだ話をされ、40名近い参加者は日々新たになり顔が輝いていました。
この巡礼旅行で多くのことを学びました。現場主義の私は、「ここが壮絶な自決があったユダヤ戦争の現場です」「この木にザーカイは登って、イエス様を待っていました」などの解説を受けると、あたかも自分自身がその時代に身を置いているように思え、聖書の言葉がより鮮明に感じられました。
 また何より、この巡礼旅行での人との出会いは大きな恵みとなりました。コンプリ神父は聖骸布研究者としても有名ですが、ホテルのレストランで偶然同席した、同じく聖骸布研究者でエルサレム在住のスペイン人、ヴェルネット神父を紹介してくださいました。聖骸布に興味があるとの私の話に、ヴェルネット神父は食後わざわざ部屋からご自分の研究書を取ってきて、プレゼントしてくださいました。聖骸布には多くの謎があると言われていますが、その中の一つに、紀元33年のものであるはずの聖骸布が中世になって突然世に現れた、それ以前は何処にあったのか不明というものがあります。未だ精読出来ていませんが、正にヴェルネット神父はここを研究されています。長崎キリシタン研究は私のライフワークですが、聖骸布研究もこれに加わりました。この時を逃してはならないと参加した巡礼旅行が、私の信仰心を深耕してくれたと思います。

 私は、日曜日の主日のミサ前、聖堂エントランスで2年間欠かさず皆さんをお迎えしました。そして、ここで多くの出会いの恵みを得ました。つまりこの2年間は、イスラエル巡礼旅行から始まり、恵みの山となったのです。
 『恐れるな。わたしはいつも共にいる』のみ言葉を軸に、離れそうになってもそこに立ち返り、交わりによって皆さんに支えられてこられたことを感謝します。神様の恵みは無限であることを皆さんにもお伝えしたいと思います。

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