寄稿:「巡 礼」

= 寄 稿 =
巡 礼

加勇田 明子

 きっかけは、昨年、巡礼で八王子教会を目指した方が誤って多摩教会に来てしまい、「八王子教会への行き方教えて」と声をかけられたことでした。その時初めて、平成28年が巡礼の年であること、指定された教会がいくつかあることを知り、是非行ってみたいと思いました。昨年3月のことです。
 それから半年以上たった11月16日、TさんとUさんと3人で出かけました。3人で出かけるのは初めてでしたが、電車に乗った途端おしゃべりが始まりました。各々の信仰との出会いとか、通っていた教会のこととか、とりとめなく話は尽きませんでした。昼食は築地でお寿司と決めていましたが、お店がなかなか見つからず困りました。でも一番の楽しみだったので執念で見つけました。とっても美味しかったです。
 築地教会は3人とも初めてでした。立派な聖路加病院の傍らにひっそりと建っている姿、ギリシャ建築のような4本の柱が印象的でした。
 16、19日と2日間、カテドラル、イグナチオ教会の納骨堂、神田教会の強烈なステンドグラス、歴史を感じる八王子教会の聖堂。ミサに出席するのではない見学は新鮮でした。
 昨年夏、夫と巡礼教会のひとつである西千葉教会を訪ねました。久しぶりに会う旧知の小林神父様からお話を伺いました。「今年は、50年に1度の巡礼の年で、巡礼に行くとすべての罪が消えるの。素晴らしいでしょ」。まったく意味が分かりませんでした。帰る途中、夫に聞きました。「あれってどういうこと?」「そういうこと。誰でも罪があるから。罪のない人はいないから」やっぱりわかりませんでした。
 11月の巡礼が終わって2、3日して、ふわっと浮かびました。「リセット」、このことかな? 神父様の言われたことって。「これだ!」と思いました。
 新しい自分。過去に執着しない日々。巡礼ってこういうことかと思いました。行かなかったらわからないことでした。
 数日後、私たちが巡礼の計画をしていた時に、そばで聞いていた人に会いました。「巡礼に行ってきたのよ」と話したら、「お寿司美味しかった?」と言われました。楽しい教会です。