巻頭言:主任司祭 豊島 治「おわりにあたって、はじめます」

おわりにあたって、はじめます

主任司祭 豊島 治

 11月を間近に迎え、町の様子は一年の終わりを感じる挨拶や風景となりました。カトリック教会の一員として特別な聖年の期間を与えられた私たちは、巡礼手帳をもって教区内の歴史ある教会を巡り、また「いつくしみ」をテーマにしてバザーを行いました。今のわたしたちは、神様のいつくしみの広さに合わせて視野をひろげることができたでしょうか。

 11月20日で閉幕する特別聖年ですので、しっかり残りの期間を意識してすごすことができるよう大事にしましょう。日頃の教会生活も大事ですが、教会として特別にこんな場をつくっていただきました。

 11月13日13時からは多摩教会の活動会のひとつ「やさしい会」の皆さんに手伝ってもらって、上映会をします(※1)。選んだ映画は『さとにきたらええやん』というドキュメンタリー映画です。10月末まで都内の映画館で上映されていた素材を配給会社ときちんとした手続きのもとで上映します。脚色・解説もないそのままのこどもの日常を描きながら、メッセージを伝えている映画です。今年9月に平成28年度文化庁映画賞において、文化記録映画優秀賞の受賞がきまりました。

 11月20日には上映された映画の舞台となった施設の荘保共子(しょうほともこ)さんによる講演会があります(※2)。この企画は多摩東宣教協力体(府中・調布・多摩教会で構成)が主催ですが、多摩教会「教会家族委員会」が担当してくださいます。普段は子どもたちと話し、分かち合う日常をすごしておられるので、大勢のおとなの前での講演会だと荘保さんのすばらしさが伝わらないかもしれません、皆さんの質問の時間を多くとりますので、参加される方は、よりよいものになるよう助けてください。

 説明が遅れましたが、映画と講演会の共通のテーマは「こどものしんどさ&すばらしさ」です。こどものしんどさは親のしんどさであり、親のしんどさは社会のしんどさを示しているともいえます。社会のしんどさをこどもが受けて生きているともいえるのです。
 映画の舞台は大阪西成区(通称釜ヶ崎)にある「こどもの里」という36年間つづけていた子どもの場とつながっている子どもたちです。翌週はそこに職員として関わった荘保さんの分かち合いとなります。「こどもの里」は運営母体がフランシスコ会⇒ 守護の天使修道女会⇒ カトリック大阪教区と時代の変遷にあわせながら、3年前独立したところです。
 毎日新聞ホームページ(10月16日版)にも記事の掲載がありました(※3)

 「こどもの里」の大きな信念が二つあります:

 1つは、子どもの最善の利益を考えること⇒ 安心して遊べる場・生活の場と相談を中心に、つねにこどもの立場に立ってこどもの権利を守り、ニーズに応えるのをモットーにすること(安心)。
 2つは、自分に与えられた境遇のなかで、子ども(人)のもつ「力」を発揮、駆使してたくましくいきている素晴らしい子どもたちを、社会の偏見や蔑視から守り、自信をもって自分の人生を選び進めるよう支援することをモットーとすること(自信・自由)。

 『いつくしみの輪をひろげよう』とバザーを行った多摩教会がこの企画によって『いつくしみを深める』ための一助となれば幸いです。

108-04 【 参照 】

※1:「上映会をします」
 10月13日(日)、カトリック多摩教会の信徒会館にて、2回、映画「さとにきたらええやん」の上映会を行います。
 第1回:13時~ 第2回:15時~
 ご案内を、こちら に掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
・・・< 文中へ戻る

※2:「荘保共子(しょうほともこ)さんによる講演会があります」
 10月20日(日)14時30分から、カトリック多摩教会の信徒会館にて行います。
 ご案内を、こちら に掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
・・・< 文中へ戻る

※3:「毎日新聞ホームページ(10月16日版)にも記事の掲載がありました」
 以下が該当のページです。一定の期間後、リンクが外れるかと存じますが、ご了承ください。
 ・ 「大阪・西成 こどもの里(その1)『つながる力、支えに』・(その2)『安心できる居場所』」(「毎日新聞」2016年10月16日 東京朝刊)
・・・< 文中へ戻る